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新国立劇場 オペラ「フィレンツェの悲劇・ジャンニスキッキ」 [オペラぁ!]

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新国立劇場の「フィレンツェの悲劇・ジャンニスキッキ」は粟國淳の演出で新制作。

「フィレンツェの悲劇」の舞台装置は、
崩れかかった城館の裂け目から2つにずれた階段が手前に伸び、
造り物のベルベットの大布が絡まっています。
背景はフィレンツェの石造りの街並みの混沌を表したモノクロームの書割で、
退廃的な雰囲気、原作者オスカー・ワイルドをリスペクトしているようです。
薄暗く怪しげな舞台は商人夫婦の邸宅、
商人シモーネが布を売りに出掛けている間に、
妻ビアンカはフィレンツェ大公の息子グイードを招き入れてよろしくやっています。
やがてシモーネが帰ってきますが、
男2人は平静を装い、女も言い訳するわけでもなく開き直り、
ワイルド特有の感情を表さない洒脱な会話で幕切れの修羅場へ突き進みます。

わずか3人の出演者ですが、
音楽と怪しい舞台の効果もありますが、それを感じさせない歌唱です。
特にシモーネ役のセルゲイ・レイフェルクス、
重たいバリトンで容貌や立ち振る舞いも怪しげ、
地位におもねる小市民なのか、腹にいちもつ抱えた小悪党なのか。
ビアンカ役の齋藤純子はヨーロッパを拠点としているソプラノとの事で、
初見でしたが厚みを感じる歌声と毅然とした所作で。
グイード役のヴゼヴォロド・グリヴノフは、
エキセントリックなテノールで、
それぞれ複雑な心情の役柄を巧みに演じました。

「ジャンニ・スキッキ」は上の写真がそうですが、
死んだヴォーゾの巨大ライティングデスクが舞台で、
登場人物が小人扱いになっています。
遺産目当てに集まった親戚たちの人間的小ささを視覚的に表現したそうですが、
そもそもコミカルな作品が更に面白くなっています。
ベッドより大きい便せんを開いたり、背丈より長いペンで文字を書いたり、
コインや腕時計は抱えて持っています。
最後に愛し合う2人が大きなデスクの引出しの中から顔を出して囁き合うところは、
心温まるシーンでした。

キャストは表題役のジャンニ・スキッキ役がカルロス・アルバレス、
短絡的な親戚たちを丸め込む老獪な策士を重量感あるバリトンで表現。
あとの15人はすべて日本人ですが、
リヌッッチョ役のテノー村上敏明が突出。
ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタの恋人役ですが、
声は力強いし、個性の出し方も何だか独特、
ちょっとすかしたアメリカンな感じで、
遺産目当ての親戚達とはちょっと違うぞ、という態度。
ラウレッタ役のソプラノ砂川涼子も、
ポニーテールにフィフティーズっぽいワンピースで、
アクティブ・ラウレッタ、有名な「私のお父さん」も、
ちょっと違った感じに聴こえました。


2018年9月東京二期会の「ジャンニ・スキッキ」公演のレビューはこちら↓
https://turlinco.blog.so-net.ne.jp/2018-09-09

2019年4月10日 新国立劇場 オペラ「フィレンツェの悲劇・ジャンニスキッキ」
"Eine florentinische Tragödie" Music by Alexander ZEMLINSKY
"Gianni Schicchi" Music by Giacomo PUCCINI

スタッフ
【指揮】沼尻竜典
【演出】粟國淳【美術】横田あつみ
【衣裳】増田恵美
【照明】大島祐夫
【舞台監督】斉藤美穂
 
キャスト
フィレンツェの悲劇
【グイード・バルディ】ヴゼヴォロド・グリヴノフ(Vsevolod GRIVNOV)
【シモーネ】セルゲイ・レイフェルクス(Sergei LEIFERKUS)
【ビアンカ】齊藤純子
 
ジャンニ・スキッキ
【ジャンニ・スキッキ】カルロス・アルバレス(Carlos ÁLVAREZ)
【ラウレッタ】砂川涼子
【ツィータ】寺谷千枝子
【リヌッチョ】村上敏明
【ゲラルド】青地英幸
【ネッラ】針生美智子
【ゲラルディーノ】吉原圭子
【ベット・ディ・シーニャ】志村文彦
【シモーネ】大塚博章
【マルコ】吉川健一
【チェスカ】中島郁子
【スピネッロッチョ先生】鹿野由之
【アマンティオ・ディ・ニコーラオ】大久保光哉
【ピネッリーノ】松中哲平
【グッチョ】水野秀樹
 
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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