So-net無料ブログ作成
検索選択
2017年04月| 2017年05月 |- ブログトップ

新国立劇場 戯曲「マリアの首」 [お芝居っ!]

無題.jpg

宮田慶子が芸術監督を務める新国立劇場の演劇部門、
戦後日本の戯曲を3人の若手が演出、それぞれ1作づつ演出するという企画の第3弾。

田中千禾夫の昭和33年作「マリアの首」を演出したのは38歳の小川絵梨子、
2018年には新国立劇場の演劇部門芸術監督に就任予定。

「マリアの首」の舞台は、
昭和20年、原爆の傷跡が残る長崎で、
癒されない傷を負った3人の女性の生きざまと、
破壊された浦上天主堂のマリア像をめぐる神との対話の物語。

開演前からマイルス・デイビスらしいジャズトランペットのBGMが流れ、
戦後復興の勢いが感じられそうなところ、
むき出しの舞台は復興もまだまだといった感じの廃材で造られたバラック。
堀尾幸男の舞台美術はそのバラックを人力で回転させ、
あとは照明効果で演出します。

夫が原爆病の「忍」は街頭で薬と詩集を売っていますが、
ある夜娼婦達に因縁を付けられリンチまがいの激しい暴行を受けます。
伊勢佳世の迫真の演技にその理不尽さが際立ちます。
またある時出会った、子どもを原爆で無くした失意の老人とは、
雪の降る日に天主堂での再会を約束します。

夜は娼婦、昼は看護婦の2重生活を送る「鹿」は、
美人ながらも顔にケロイドの傷を負っており、
破壊されたマリア像の欠けらを集めて救いを求め、祈ります。
鈴木杏の絶叫に近い祈りにはどうにもならない怒りが込められているよう。

「静」は献身的な看護婦。
寝る間も惜しんで病院で働きますが、
峯村リエの堂々とした立ち振る舞いは、
苦しんでいる人を放っておけない女将さん的存在。

お巡りさんやマフィアのボス、盲腸の学生など、
いろんな世俗の交わりを絡めた物語の進行は、
長崎なまりの台詞が歌うように風に乗って、
ちょっとした異次元体験のような感じでした。


2017年5月20日 新国立劇場 戯曲「マリアの首」
スタッフ
作 田中千禾夫
演出 小川絵梨子
 
美術 堀尾幸男
照明 服部基
音楽 阿部海太郎
音響 福澤裕之
衣裳 中村洋一
ヘアメイク 佐藤裕子
演出助手 渡邊千穂
舞台監督 澁谷壽久
 
キャスト
鈴木杏 伊勢佳世 峯村リエ
山野史人 谷川昭一朗 斉藤直樹 亀田佳明 チョウ ヨンホ 西岡未央 岡崎さつき


2017年04月|2017年05月 |- ブログトップ