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新国立劇場 戯曲「白蟻の巣」 [お芝居っ!]

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宮田慶子が芸術監督を務める新国立劇場の演劇部門、
戦後日本の戯曲を3人の若手が演出、それぞれ1作づつ演出するという企画の第1弾。

32歳の演出家、谷賢一が選んだのは三島由紀夫の「白蟻の巣」。
三島由紀夫を選んだだけで半分は成功と思いますが、
三島初期の戯曲で1955年に初演との事なので実に62年前の作品。
おそらく演出家のお父さんが生まれた頃あたりでしょう、
そんな時代をどう演出するのか期待していました。
物語は、
没落貴族を中心にした邸宅内の奇妙な恋愛関係が、
灼熱のブラジルの太陽の元で展開していくというものです。

舞台は全編を通して、
元貴族のブラジルのコーヒー農園主刈屋の邸宅。
シーンによって食堂だったり居間だったり運転手の寝室だったり、
特に大きな装置はなく手前に食卓やソファ、ベッドなどがおいてあり、
中央には前後を仕切る紗幕、その奥にはなにもなく、
背景は深い凹凸のある壁で、照明の効果で岩山にも森にも見えます。
特筆するほどのものはありませんが、
ひとつの舞台上でいろんな部屋を表現しているので、
出番のない人が脇でじっとしていたりして、
表に出て来ない人の感情を見せる演出はさすがと思いました。

以前に妻が心中未遂を図った不倫相手の運転手を、
今でも雇い続ける農園主の刈谷役は平田満。
何事にも興味を示さず全てを寛容で包み込む穏やか物腰は、
ブラジルの熱く乾いた空気になじみます。

その妻、妙子役は安蘭けい。
全てをあきらめたような空虚さを漂わせ、
自由なようでいて、実は「寛容」という見えない束縛に苦しんでいる、
そんな不安定な心情を上手く表現していました。

妙子の不倫相手の運転手、百島役は石田佳央。
長身のイケメンで運転手にはもったいないぐらいなので、
農園主の妻がなびくのも頷けます。
ちょっと分別臭い立ち回りに、
はっきりしたセリフで声も良く通ります。

運転手の妻役は村上絵里。
夫の不倫に悩む、少しいかれた役どころですが、
とくかく力いっぱいという感じの演技で、
孤立した立場を際立たせます。

全体的にスピード感のある会話で進行しますが、
「~ですわ。」調の古風な言い回しにちょっと合わない感じ、
ブラジル農園のゆっくり時間が進む感じは出ていましたが。

今日は半月間公演の初日、
入口には「報道関係」とか「劇団関係」とかのカウンターがあり、
チケットがずらっと並んでいて、
私たちチケット購入者は何だかよそ者扱いのような感じでした。


2017年3月2日 新国立劇場 戯曲「白蟻の巣」
【作】三島由紀夫
【演出】谷賢一

スタッフ
【美術】土岐研一
【照明】松本大介
【音響】長野朋美
【衣裳】前田文子
【ヘアメイク】鎌田直樹
【演出助手】渡邊千穂
【舞台監督】足立充章

キャスト
【妙子】安蘭けい
【刈谷】平田満
【啓子】村川絵梨
【百島】石田佳央
【きぬ】熊坂理恵子
【大杉】半海一晃

タグ:三島由紀夫
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