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新国立劇場 オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 [オペラぁ!]


ko_20000788_chirashi.jpgオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は、
ロシアのドミトリー・ショスタコーヴィチの作曲で、
1934年にレニングラードの、
マールイ劇場で初演されています。

原作はニコライ・レスコフの同名小説で、
裕福な商家に嫁いだ主人公が、
使用人と不倫の上、舅さらに夫を殺害。
不倫相手と結婚するものの相手の浮気に逆上し、
浮気相手と共に、川に身を投げて果てるという、
壮絶な内容です。

性と殺人のエロオペラと言えばベルクの「ルル」を思い浮かべますが、
「ルル」は1937年初演なのでこちらの方が先のようです。
また、この作品も20世紀オペラ屈指の傑作とも呼ばれていますが、
音楽だけ聴いただけではなかなかピンと来ません。

それが舞台に乗ると、
なるほど、ストーリーを与えられて生き生きと聴こえて来ます。
メリハリのある音楽は、
物語の進行に合わせて緩急自在に場景を描写、
若干24歳のショスタコーヴィチの豊かな感性があふれています。

そして今回のプロダクションは、
2004年の英国ロヤルオペラのもので、2007年にはミラノ・スカラ座で上演されたもの。
リチャード・ジョーンズのダイナミックな舞台構成に端的な演出、
それにサイケデリックなジョン・マクファーレンの舞台美術が美しい。

英国ロヤルオペラの制作のためか、
新国立劇場のプロセニアムよりひと回り小さい舞台は、
扉でつながった2つの部屋に区切られ、
家主のオフィス、リビング、寝室、倉庫など、
ストーリーに合わせてそれぞれの部屋が割り当てられます。
登場人物の動きは、
気持ちのいいほど音楽にピタリとあっており、
使用人が主人公の寝室にもぐり込むシーンでは、
金管とティンパニーの連打にあおられるように、
サイドテーブルを倒し、タンスも押しのける勢いで絶頂へ登り詰め、
果てた時には音楽もダラ~ンとして、タンスもだらしなく扉が開くといった感じです。

そして舞台美術は「パーフェクト!」
スタイリッシュに格好つけているだけでなく、
センス良く斬新ながら音楽や登場人物を邪魔しないし、
喋りすぎずに主張して印象づけています。

歌手では、
主人公のカテリーナ役のステファニー・フリーデ、
倦怠、欲情、不安に嫉妬、
あらゆる感情を歌にしなければならない難しい役だと思いますが、
大編成のオーケストラに負けない声量で聴衆を支配、
ストーリーを読むと、とんでもない女なのですが、
気が付くとなぜか感情移入しています。

演奏は東京交響楽団、指揮は若杉宏が降板してロシアのミハイル・シンケヴィチ。
ピットからあふれそうな大人数のオーケストラに、
2階下手のバルコニーには10人以上のバンダを置いて、
フル回転?
大音響でゾクゾクと脳が刺激されました。


2009年5月1日 新国立劇場 オペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
Shostakovich:LADY MACBETH OF MTSENSK

【作 曲】ドミトリー・ショスタコーヴィチ(Dmitry Shostakovich)
【台 本】アレクサンデル・プレイス
スタッフ
【指 揮】ミハイル・シンケヴィチ(Mihail Sinkevich)
【演 出】リチャード・ジョーンズ(Richard Jones)
【美 術】ジョン・マクファーレン(John Macfarlane)
【衣 裳】ニッキー・ギリブランド(Nicky Gillibrand)
【照 明】ミミ・ジョーダン・シェリン(Mimi Jordan Sherin)
【芸術監督】若杉 弘(Wakasugi Hiroshi)

キャスト
【ボリス・チモフェーヴィチ・イズマイロフ】ワレリー・アレクセイエフ(Valeri Alexejev)
【ジノーヴィー・ボリゾヴィチ・イズマイロフ】内山 信吾(Uchiyama Shingo)
【カテリーナ・リヴォーヴナ・イズマイロヴァ】ステファニー・フリーデ(Stephanie Friede)
【セルゲイ】ヴィクトール・ルトシュク(Viktor Lutsiuk)
【アクシーニャ】出来田 三智子(Dekita Michiko)
【ボロ服の男】高橋 淳(Takahashi Jun)
【イズマイロフ家の番頭】山下 浩司(Yamashita Koji)
【イズマイロフ家の屋敷番】今尾 滋(Imao Shigeru)
【イズマイロフ家の第1の使用人】児玉 和弘(Kodama Kazuhiro)
【イズマイロフ家の第2の使用人】大槻 孝志(Otsuki Takashi)
【イズマイロフ家の第3の使用人】青地 英幸(Aochi Hideyuki)
【水車屋の使用人】渥美 史生(Atsumi Fumio)
【御者】大槻 孝志(Otsuki Takashi)
【司祭】妻屋 秀和(Tsumaya Hidekazu)
【警察署長】初鹿野 剛(Hatsukano Takeshi)
【警官】大久保 光哉(Okubo Mitsuya)
【教師】大野 光彦(Ono Mitsuhiko)
【酔っ払った客】二階谷 洋介(Nikaitani Yosuke)
【軍曹】小林 由樹(Kobayashi Yoshiki)
【哨兵】山下 浩司(Yamashita Koji)
【ソニェートカ】森山 京子(Moriyama Kyoko)
【年老いた囚人】ワレリー・アレクセイエフ(Valery Alexejev)
【女囚人】黒澤 明子(Kurosawa Akiko)
【ボリスの亡霊】ワレリー・アレクセイエフ(Valery Alexejev)

【合 唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京交響楽団(Tokyo Symphony Orchestra)


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コメント 2

TaekoLovesParis

わかりやすく的確なつるりんこさんのオペラ記事。
読んでいると、場面がうかんできます。
<音楽もダラ~ンとして、タンスもだらしなく扉が開く>
→ ここの緩急は実にうまかったですね。飲みこまれるように見てしまいました。青く目立つ靴下も意味ある小道具だったのですね。
ステファニー・フリーデ、すばらしい余裕の歌唱力で、一途なかわいい人という印象を残してくれました。

by TaekoLovesParis (2009-05-04 09:33) 

父ちゃん

はじめまして(^○^)
オペラ・・・すごそう!
by 父ちゃん (2009-05-06 08:46) 

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